「……父さんのことをそれ以上は言わないで」 もう一度低い声で言った奈穂実は、席に戻ろうと双子に背を向けた。 そんな奈穂実に麻梨が言い放った。 「あんたの父親、首を吊って借金返したんだってね。最期には役に立つ親でよかったじゃん」 奈穂実は一瞬足を止めた。 もしかして麻梨のこともひっぱたくのかと思ったけれど、奈穂実は振り返ることもなく教室を出ていった。