「どうしてこの子なのよっ? 恨みがあるのは私なんでしょ? 私を殺しなさいよっ! 」


大声を出す実宇子が半狂乱になりながら聞いてきた。


「そんな事も分からないの? あんたを殺しても何にもおもしろくないじゃない。自分よりも大切なものを失って生きる方が、殺されるよりも苦しいでしょ? 」


わたしは興奮を抑えきれなくなってケラケラと声をあげて笑ってしまった。

やっとこの人達に、
……やっとお父さんの苦しみを分からせてやれる。


「だからなの? だから多華江の子供たちやほのかちゃんを?」

「そうだと言ったら? 」

「……なんてことを。許さないっ、絶対に許さないっ! 」


怒りを抑えきれない実宇子は肩を大きく震わせている。