「どういうこと? 母さんを殺さないって言ったじゃない」

「うんうん。“実宇子ちゃん”は殺さないって言ったんだよ」


わたしは子供をさとすように、奈穂実に大きくうなずいてあげた。


「美晴、冗談はやめて。私は死ぬわけにはいかないの。私が死んだらこの子は一人になってしまうのよ」

「冗談でこんなことをしたのはあんた達でしょ。理由は分かったけれどわたしは許したわけではないのよ」


状況を理解できてなさそうな奈穂実と実宇子に、わたしは描いたてるてる坊主を見せた。



「だから、奈穂実が死んでね」