「知らないの? 人間って首を切られたあとでも意識はあるのよ。ほんの少しの時間だけどね」


わたしはもう一度ほのかを見た。
目を見開いたままのほのかは、もうまばたきを返してはくれない。


「なーんだ。もう死んじゃったみたい」


「美晴、……人が死んでいるんだよ? なんで笑っていられるの? 」

「なんでって言われても、最期の景色ぐらい笑顔の方がよくない? 」


落ち着こうとしているのか、大きく肩で息をしている奈穂実は目に涙をためているけれど、何が悲しいのかさっぱり分からない。