「席につきなさい」

「きゃああ! 」


みんなが窓の外を見ながら落雷の場所を探していると、背後からの低い女性の声にまた悲鳴があがった。


教室の入口に立っているのは担任の山崎先生だった。

白髪混じりの髪を後れ毛ひとつも許さずに後ろでキチッと団子にまとめていて、淡い紫がかったメガネをかけている。

この学校で一番長く教職をしていて、来年が定年退職らしい。

先生はざわつく生徒たちにイライラする感情を隠そうともせず、メガネを下にずらして睨みつけてきた。