「美晴のテストを隠そうと思っただけよ。私が勝手にやったことだから、美晴は悪くないから」


少しでもわたしのことをかばおうとしてくれる優しい奈穂実。


「だから、どうして天野美晴の答案用紙をあんたが持っているのよ! 」


けれど母親の口調が強くなってしまった。

それは、奈穂実の答えが聞きたいこととズレているからってわたしは知っている。


「だーかーら、美晴がテストで落ち込んでたから隠しただけよ。察してよ、……ねぇ? 」


奈穂実はばつが悪そうにわたしを見ると「ごめん」と手を合わせてきたので、わたしは安心させる為に笑ってうなずいた。