「ほのかっ! 」


奈穂実が勢いよく開けた扉は、バンッと強い音をあげると反動で半分閉まってしまうほどだった。

教室の中では、わたしの席の前でほのかが青ざめたまま固まっていた。

その手には奈穂実が作ったてるてる坊主が3つ握られている。


「あんた、それで何をするつもり? 」

「いや、……これは渡さない」


ほのかは震える声で答えると、奈穂実に渡すつもりはないようで、てるてる坊主を握りなおした。



「返してよ」

「……いや」


奈穂実がほのかに近づいていくと、ほのかは首をふりながら数歩下がって距離をとり、てるてる坊主を守るように身をかがめた。