学校に着いたとき、雨と汗とでわたし達はぐっしょりと濡れていた。

遠くで唸るような雷の音がしている。

奈穂実が言うように本当に梅雨明けが近いのかもしれない。


急がないとっ


そう言って学校の門に足をかけて乗り越えようとした時、何の気なしに顔を上げた。


重い灰色の校舎の真っ暗な窓ガラスは、まるで底のない闇への落とし穴のようで。

その中に頭から飛び込んで行くような感覚になり、グラッと目眩がして、足がすくんでしまった。