「奈穂実、学校に行こうっ! 」

「うんっ」


わたしは奈穂実の手をしっかりと握った。


「ちょっと奈穂実、どこに行くの?」


走り出したわたしたちに、奈穂実の母親が驚いて声をかけてきた。


「学校だよっ、ほのかを止めないと私が殺されるかもしれないのっ! 」

「何を言っているの? ちょっと待ちなさいっ! 」


引き止められそうになる奈穂実をわたしは思いきり引っ張って、逃げるように走らさせた。


また降り始めた雨の中を騒ぎに気づいたマスコミが集まり始め、遠くから救急車の音が聞こえてきた。