「それより、昨日は聞こえた?」


由梨がほのかにたずねた。


「……もしかして、深夜の2時30分ぐらいじゃなかった?」

「そう、それ! 丑三つ時」
「そう、それ! 丑三つ時」


恐る恐る答えるほのかに、麻梨と由梨が顔を合わせて目を輝かせる。


「でも、あたしは直接聞いてないの。一緒に寝ていた犬がすごく吠え始めたから、目が覚めただけで」


そう言ってほのかはブルッと体を震わせると、恐怖からくる寒さを削り落としたいかのように両腕をさすり始めた。