少し眠っていたみたいだった。
聞き覚えのある音に気がついて、わたしはフッと目が覚めた。


……やっぱり間違いない


ざっ、ざっ、ざっ、と雨の音にまじってあの足音がかすかに聞こえている。


ロビーで話をしている人たちはまばらで、誰も足音には気がついていないみたい。

通夜は終わっているらしくてお経は聞こえてこないし、生徒を含め、ほとんどの参列者はもう帰宅しているようだった。

体を起こすと、奈穂実は足音に気がついているみたいで天井を見つめるように耳をすませていた。

けれどその顔は間違いなくわくわくとしている。