奈穂実はロビーの隅に長いソファを見つけると、わたしをそこに座らせた。


「横になっていた方がいいよ」


そう言ってソファの端に座ると、太ももをポンッと叩いてわたしに寝るように催促した。


膝枕ってこと?
そんなの、されたことがない


恥ずかしさで遠慮するわたしを、奈穂実は無理矢理に横にした。
頭にポスッと触れた柔らかい膝枕は、心地よくて安心できる。


「少し眠ったら? もうすぐ梅雨明けっぽいからよかったね」