「美音、覚えてたんだ」 「慌てて入ってきたし、あまり見かけない顔だったから」 「オレの印象薄っ」 「仕方ないんじゃない?」 「美音って結構キツイこと平気で言うよな」 そんなこと知るかとむくれるけれど、そんなあたしを尻目に彼は棚を見つめる。 「なに?」 「覚えてないかな。えーっと……」 理久は急に、左から右へ視線をずらしながらCDを探している。 「ねえ、なんなの?」 「あ。あった」 理久は棚から一枚のCDを取り出した。