初恋もまだなのかと罵られているように感じて、彼が途端に嫌いになる。



「……あるよ」



 別に嘘をつかなくてもいいことかもしれない。


 でも、恋をしたことがないと言われて、子供に見られたような気がして我慢できなくて。


 なぜか、彼には負けたくなかった。
 対等の立場でありたいと思い、嘘をついてしまう。
 ……やっぱり子供だ。



「嘘だね」



 その嘘もすぐにバレてしまい、恥ずかしくなって目をそらす。



「うるさいな。あんた、誰?」

「理久(りく)」

「は?」

「だから、理久。よろしく」

「なにがよろしくよ」