「花がベスト16に入れなかったんだ。」



樹が言ったその言葉に耳を疑った




花が……?




花はあたしたちの部活で一番強い




部長のあたしですら勝ったことは何度かしかない




そんな花が負けた……?




「2人でベスト16入ろうね」





そう約束したのに・・・・・




「嘘でしょ……?」




お願いだから、嘘って言って




「俺もそう思いたいけど、残念ながら事実だよ。
クラブチームの1年に負けちゃったみたい。1年だけど、クラブチームだから大分やってる子見たい。多分俺達よりも、歴は長いと思うよ。」




悲しそうに樹が答えてくれた




駿は隣で俯いている




そっか・・・



クラブチームの子に当たっちゃったんだ




正直言ってこれはトーナメント戦だからくじ運で結果が左右される





だから、しょうがない









って言いたいけど、そうはいかない





あたしたちは『しょうがない』の五文字で終わらせたくなくてずっとがんばってきたんだから






そして、樹が今の花の状況を説明してくれた





「今は上で泣いてるよ。後輩たちが慰めてくれてる。
咲良との約束守れなかったって言ってた」




やっぱり……



花はそういうことを気にする子だ




そんなこと気にしなくていいのに





きっと花は一生懸命、全力でやったのだろうから




「あたし、行ってくる!」




そういって走り出した時





———パシッ




駿に腕を掴まれた