カバンからラケットと水筒とタオルを出していると、駿がやってきた





「さっきの、咲良らしい考えだったな」



「うん、まあ正直負ける気しかしないけど、そうやってでも考えてないと全力出しきれないと思うから」






本当は、そんな風には思ってない・・・・



確かに、強い人と試合すればするほど沢山いいところ吸収出来て、強くなれる




けど、不安なのは不安だよ



諦めたいよ……



さっきは言わなかったけど……





「そっか。あ、俺は咲良なら行けると思ってるから。」



え?



———ポンッ



駿がまたあたしの頭に手を置いた





「少しでも咲良の事信じてるやつがいるんだから、全力で行って来い」




駿はニカッと笑った



なんか駿らしくないな



俺なんかが応援しても・・・なんて言いそうなのに





けど、その言葉がスゴく嬉しかったりする






「ふふふっ、ありがとね」





「咲良は、そうでなくちゃな。
 俺も全力で応援してるから、頑張れよ」





駿のためにも・・・勝たなくちゃっ!





「うん!行ってくるね!」





笑顔でそう言って、あたしは走ってコートへと向かった