「そうか」
「──お前、ほんと丸くなったよな。どす黒いモン背負ってた昔のお前に見せてやりてぇよ」
「……あー、確かに。出会った頃の十夜は真っ黒くろすけだったよねー」
腕を組みながら、出会ったころの十夜を思い出してウンウンと頷くあたし。
今でもときどき思い出す。
十夜と初めて会った公園でのこと。
あの時はほんとムカついたよね。
ブランコぐらい好きに乗せてよって思ったもん。
まぁ、あれはあたしをあの場から遠ざけるためだったんだけど。
「でも、あの頃も優しかったよ?意地悪だったけど。あ、それも変わってないか」
茶化すようにそう言えば、コツンと軽く十夜に小突かれて。
仕返しに脇腹こちゃこちょしようとすると、
「おい、お前ら。いちゃつきに来たのかよ」
中田のうんざりした声に遮られた。


