「そう言えば中田、割と強いんだった」

「てめぇ、割とってなんだよ!」

「そのままの意味ですが何か」

「てめっ」

「ちょ、暴力反対!」



握ったこぶしで小突いてくる中田から笑って逃げていると、



「──楽しそうだな」

「ひぇっ……!」



背後から、すっかり忘れていた十夜サンのお声が。



「と、十夜サン遅かったですね」



不格好な中腰のままそろっと振り返ると、久しぶりにブラックオーラを纏っている十夜があたしを見下ろしていて。


すーっと、スローで体勢を整える。



いやん。激こわだよ十夜サン。