「この国では動物たちのいる自然と共存しているじゃない?だから、レゼのその魔法とっても素敵」
腕の中にいる子ギツネを撫でれば、子ギツネは気持ち良さそうに目を細める。
「そいつ、耳の裏が気持ちいいみたい」
レゼがそう呟けば、ニカは耳の裏を重点的に優しく撫でた。
次から次へとレゼの周りに寄ってくる動物たちを、レゼに助言を貰いながら抱きしめて撫でる。
それを繰り返していれば、気付けばもう日が落ちかけていて、森の外が騒がしかった。
「大変、帰らなきゃいけないんだった!レゼ、今日は本当に楽しかった!また来ても良い?」
「…いいよ」
「ありがとう!そしたらまたね!」
風を切りながら走って森の外へと向かうニカ。
その後ろ姿を見送るとレゼは眉間に皺を寄せながら動物たちへと目を向けた。
「彼女、何者?」
外から見ればその質問に答える言葉は一つもなく、ただ動物たちの鳴き声が響いて聞こえるだけだったが、レゼは自分だけに聞こえる声を聞き目を丸くした。


