「あなた、動物とお話出来るのね!?私はニカ!あなたのお名前は!?」
「レゼ」
好意的に握った両手をブンブンと上下に振り、興奮して目を輝かせるニカに、レゼは驚いて咄嗟に名前を言う。
本当は誰にも名を告げるつもりはなかったが、あまりのニカの興奮に圧倒されてしまったのだった。
「レゼ!また今度お話したいわ!今日はもうそろそろ帰らないとなの…」
ニコニコと目を合わせるニカに対して、あえて目を逸らし斜め下を向いて頷くレゼ。
その頷きを見て喜んだニカは、「約束!」と言い残して来た道を走って戻っていった。
残されたレゼは、その離れて行く後ろ姿を見送ると掴まれた手を見下ろす。
走ったせいか握られたせいか、その手はいつもよりも温かかった。


