「ねぇ知ってた!?アロガンって本当は他に好きな人がいたらしいのよ!」

「へぇ、そうなんだ」

「私のことを好きになろうとしていたらしいのだけれど、そんな状態で私と結婚させたくないってお父様は思ったらしく、破棄させて貰ったそうなのよね」


あれから数日後。

ニカはいつもの森へとやってきてレゼへと報告をする。

正直婚約破棄は嬉しかったが、他に想い人がいるにも関わらず一目惚れなどと言ってニカにあの様な態度を取っていたのかと思うと煮え切らない思いだった。


「まぁ、嫌だったんだから結果オーライなんじゃない?」

「そうなんだけど…」


んー、と不満そうに口を尖らすニカを見て、レゼは膝に乗せていた子ギツネに魔法で語りかける。

子ギツネはレゼの声を聞くとニカの前へと周り込み、自分の鼻先をニカの鼻先にツンと触れさせた。


「わぁ!慰めてくれるの?ありがとう」


子ギツネの顔に頬ずりをするニカを見てレゼは空を見上げる。

これでニカの気が晴れるといいなんて思いながらそのまま背中を地面へと倒し、仰向けに横たわった。





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