ドヴァー国といえば、ニカ達のいるアジーン王国の東側に位置する大国だ。
アジーン王国同様、5強国のひとつであり、5強国の中でも1番栄えていると言ってもいいほど経済が周り、物資の流通が盛んである。
そして、ドヴァー国には何人か王子がおり、ニカも5強国舞踏会に参加した際に遠目ではあるがなんとなくは把握していた。
「そしたら私はドヴァー国に嫁ぐということですか…?」
「いや、どうやらこちらに嫁いでくれるらしい」
「こちらにですか!?第3王子が!?」
びっくりして目を見開いたニカだったが、父王も同様に驚いているらしい。
まさか、ドヴァー国の王子が婿養子になってまでニカとの結婚に本気の姿勢を示していたとは思わなかったからだ。
「数日後、アロガン様がニカに会いに城へ来るらしい。粗相のないようにするのだぞ」
「…分かりました。失礼します」
話を聞き終え、父王のいる政務室を後にする。
ついにこの時が来てしまったのだ。
むしろ、今まで話が無かった方がおかしかったのだと自分に言い聞かせ、ニカはぼんやりとアロガンの顔を思い出した。
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