「ごめんね。いきなりあんなことして。でも、そうしないと私の魔法発動しなくって…」
「回復魔法だよね?」
「うん、そうなの」
頷き肯定したニカを見て、レゼは改めて驚いた。
この世界には様々な種類の魔法が存在するが、回復魔法なんていうものはそれこそ神話レベルに珍しく、実在するのが嘘のような魔法のであった。
回復魔法は使い方次第で永遠の命でさえも手に入れられるという噂もあり、その理屈から、神はあえて回復魔法を人間に与えなかったのだという結論に至っているのが今の世界の常識であったからだ。
しかし、そんな回復魔法を実際に使える人が目の前にいるのだ。驚かないわけがなかった。
「回復魔法っていうと聞こえがいいかもしれないけれど、本当を言うとあんまり使い勝手は良くないの。治せる範囲は少ないし、自分の許容範囲を超えた回復をしようとすればその代償が自分に跳ね返ってきちゃうの。だから、万能って訳じゃないんだけど、噂ではすごい魔法って言われてるから、あまり周りに知られないようにしてて…隠していてごめんなさい」


