水にさらした布を小屋へと持ち帰りレゼの額に乗せる。

そして先程小屋と川の間を通る時に見つけた大きな葉っぱの中に川の水を組み入れに行き、小屋の中へと零さないように持ち込んだ。


レゼの額に乗る布が温くなったら冷たい水で浸し絞ってまた乗せる。

それを繰り返していたものの、レゼの熱は一向に下がることはなく、むしろより辛そうに荒い呼吸を繰り返していた。



「レゼ………」


医者は嫌だと言うけれど、ここには薬もなく、しっかりとした看病が出来ない。

このままでは、下手したら命の危険だってあるかもしれない。


そんな状況に意を決したニカは、そっと左手でレゼの閉じたままの両目覆うと、ベッドへと乗り、右手をレゼの顔の横へとついた。


「ごめんね、そして今からやることは絶対に秘密にしてね」


意識がないだろうからバレはしないだろうけど、意識がないからこそ今からニカがしようとしている行為が申し訳なさすぎる。



心の中でもう一度深く謝ってから、レゼの顔の横へとついていた右手をゆっくりと曲げ、レゼの唇へ触れるように自分の唇を重ねた。



しばらくの間重ねた後、そっとレゼとの距離を図る。


目の上に添えていた左手を離しレゼの様子を伺えば、さっきまでが嘘のように呼吸は整い、顔色も明るくなった。


確認するために手を額に乗せてみるも、熱も十分下がっている。


そのことに安心したニカはホッと一息つく。

そして無意識に右手で自分の唇に触れていた。