森の奥へと進むにつれて、太陽の日差しを受けて明るかった辺りも、木々に遮られ暗くなっていった。
鳥の羽ばたく音や、動物たちが潜む音など、小さな音も反響して大きく聞こえ、不穏な空気が漂っている。
そんな空気に少し不安になってきたところで、子ギツネは低木の間を潜り抜けるように、小さなアーチの奥へと進んでいった。
ニカは、急に姿が見えなくなってしまった子ギツネに慌てて跡を追いかけてその低木のアーチをしゃがんで潜っていく。
そうして抜けた先には、先ほどまでの暗さが嘘のように開けた空間が広がり、木で作られた小屋が佇んでいた。
その小屋の周りには、先程の子ギツネを含めた小鳥やうさぎなど、沢山の森の動物たちが囲むようにして中を伺っている。
そして、ニカに気付いた動物たちは小屋の扉の前をスッと開け道を作り、ニカに中に入れと言わんばかりに促した。
扉の前に立ちノックをするものの、中から返事は返って来ない。
ドアノブを回せば、扉はすんなりと開き、控えめに勝手に入ることを謝りながら中へと足を運んだ。
中は薄暗く、辛うじて窓から陽の光が入っているぐらいだった。
その光を頼りに奥の部屋へと進めば、荒い息遣いがニカの耳に入った。


