「最近雨が多いわ…」


しとしとと振り続ける雨を自室の窓から眺める。
ここ何日か雨が降り続け、ニカは外に出られず退屈していた。

雨が降ってしまうと、木登りも滑ってしまって危ないし、屋台の屋根も雨による水がたまり、ニカが乗ると負荷がかかりすぎて壊れてしまう。


そのせいでいつもの城の脱出経路が使えず、連日教育係であるブラウに引きづられながら姫としての勉強をさせられていた。

つまり、退屈なのだ。


「ねぇトミー。いつになったら雨が上がると思う?」


「そうですね…この国では自然と共存するという関係上、大々的に魔法で雨をどうにかすることは禁止されているので、自然と雨が止むのを待つしかないですね…。この時期に雨が多いのはしょうがないです」


頰を膨らましながら外を見るニカに、困ったように笑うトミー。


「私の地元では、雨が晴れることを願う時に、お団子のような頭にヒラヒラさせた体を持つお人形を窓の所に吊るしてお祈りすると、次の日には晴れるという風習がありますが…試してみられますか?」


「ぜひ試してみたいわ!どうやって作るの?」


トミーに作り方を教えて貰い、完成したものを吊るすニカ。

トミーの作った分と2つ並べて吊るすと、両手を合わせて目を閉じ願いを込めた。

そして、その願いが見事次の日に通じたのだった。


「すごいわトミー!晴れた!!」

「きっとニカ様の願掛けが効いたんですね!」

「トミーが教えてくれたおかげよ!ありがとう!」

トミーの両手を握ってブンブンと振り回しながらお礼を言うと、連日行けなかった分を取り戻すように慌てて外へと向かったニカ。


本来ならば城を脱走する姫を止めなければならないはずのトミーだが、何も見なかったことにして今日もニカの脱走に胃をキリキリさせるであろうブラウの相手をしに向かったのだった。