姫様と魔法のキス



「おはようレゼ!!」

「もうお昼だと思うけど」


太陽が真南に差し掛かった頃、今日もニカはレゼがいつもいる森へとやって来た。


その手には大きめのバスケットが握られ、何なんだとレゼは目を向ける。


その視線に気付いたニカはバスケットを持ち上げ笑みをこぼした。


「ご飯一緒に食べようと思って持って来たの!動いたから崩れちゃってるかもしれないけど、味は保証するわ!」


握ったバスケットをレゼの方へ向け、バスケットに被さっている布をめくる。


中から現れたのは美味しそうなホットサンドとサラダや果物だった。

まだ出来立てなのか、あたりに香りが漂う。

スンと匂いを嗅いだニカは満足そうにバスケットの中のホットサンドをレゼへと差し出した。


「…ありがと」


素直に受け取ったレゼはそれを口に運ぶ。

瞬間、つい上がった口角をニカは見逃さなかった。