「ニカ様!毎度申し上げておりますが、もう少し姫様である自覚を持って節度を保った行動をしてくだされ!!」
「ごめんなさーい」
森を抜け城の近くへと行けば、いつもより帰りが少し遅くなってしまった分、城の従者たちがニカを探しに出て来ていた。
その従者たちに駆け寄り無事城へと戻って来たニカは、教育係であるブラウにいつも通り小言を言われ聞き流していた。
「ニカ様ももう18になるんですぞ。お年頃なんですから、もっと姫様らしくして頂かないと、このブラウ死んでも死にきれませんぞ」
「あら大丈夫よブラウ!それだけ元気なんだもの。まだあと数十年は生きて、私の子供も見て貰いたいわ」
「ニ、ニカ様…!!」
「この老いぼれ、ニカ様のお御子を見るまでは死んでも死にきれません!!」とおいおい泣き始めたブラウにニカは持っていたハンカチを渡した。
18といえば、国の姫は別の国の王子に嫁いでも可笑しくはない年頃だ。
しかし、このアジーン王国の王にはニカしか子供がおらず、ニカが嫁ぐのでは王位の継承が出来なくなってしまう。
その代案が出るまでは政略的にニカは他国に嫁ぐことはなく、ましてやニカ自身が他に嫁ぐ気などさらさらなかった。
そんなニカの心内を知らず、まだ見ぬニカの子供を思い涙を零すブラウに、ニカは苦笑を漏らすのであった。


