【完】僕達のレンアイ事情

「か、買い物?」



俺のエコバッグを見てか紗奈がそう口にする。



「あぁ。母さんに頼まれてな」


「お手伝い…偉いね。けど、エコバッグ似合わないね…」


「ははっ。母さんのだからな」



どこかぎこちなく話す俺ら。
こんなふうに話すのも望んでないのに。



「元気?」



今度は俺から聞いてみる。



「うん。元気」


「そっか。よかった」



俺といない間も元気でやってくれてるならそれでいいかな。
幸せになってほしいと思う。



「りゅ…竜二」


「ん?」


「…別れよう」



突然告げられた言葉に一瞬にして全てが停止するのがわかる。



もうないものだと思ってたから
告げられてもなにもないはずなのに

ただの喧嘩でまた元に戻れるって淡い期待もやっぱりあったわけで。

それがそう告げられると一気に現実に押し寄せる。



「ん。まぁ、別れてたようなもんか」



俺はそれだけ言うとエレベーターに乗り込む。



「幸せになれよ」



それだけ言うとエレベーターのドアが閉まる。