【完】僕達のレンアイ事情

「何の話してるかわかるよな?」



俺は紗奈をエントランスの壁に追い込む。



「わかんないよ」


「ふーん。それならそれでいいや。あれか追いかけるのが好きなのかお前」



俺はガンっと壁を叩いて紗奈から後ずさりをする。



「なによ、それ」


「だってそうだろ。俺がお前に本気になったらこれだし」



自分でもなにを言ってるかよくわかんねぇ。
でも、許せなかった。
何も無いなら言い訳ぐらいしてくれよ。



「何を言ったって信じてくれない雰囲気じゃん」


「信じてくれない雰囲気?なにそれ。嘘でもいいから言い訳して欲しかったね。俺は」



なにかあったかなかったかなんて当事者にしかわかんねぇし。
嘘でもよかった。
俺に勘違いさせたくないって姿勢が見たかった。


でも、紗奈はそれすらしてくれないんだ。



「本気になんてならなきゃよかった」



俺はそのままコンビニへ向かった。