【完】僕達のレンアイ事情

「うん。千夏の家が工場なんだ。そこでバイトしてて。いまただの休憩時間」


「バイトなんてそんなこと一言も…」


「はぁー。内緒にしたかったのに。神谷のバカ」



丈が俺のお腹をグーで殴る。



「痛てぇよ。内緒ならそれらしく色々バレないようにしろや」


「丈、なんでバイト?学生のうちはお互いの親から援助してもらって学業に専念するってあれほど…」



やしなが苦しそうな顔になる。



「どうしてもやしなにあげたいものがあったんだ」


「え?」


「もうすぐ結婚記念日だろ。俺のワガママで就職しないで進学させてもらって。本当なら俺の実家じゃなくて、俺らの家に住みたいだろうに我慢させてる。だから結婚記念日だけはやしなに幸せな思いして欲しいって…ごめん。不安にさせて」



丈がやしなと悠人くんを抱きしめる。



「十分幸せだよ。このままでも」


「そっか…」



やしなの笑顔がやっとみれた気がする。
やっぱり俺じゃあ、あんな笑顔には出来ない。