【完】僕達のレンアイ事情

「なぁ、そこに丈いんの?」



まじかよ。
なんで俺の微かな期待すら裏切るんだよ。



『うん。いるけど?』


「なにしてんの?」


『普通にお茶を…』



千夏ちゃんの言葉に俺の何かが崩れる気がした。



「なぁ、丈出してくんない?」


『あ、うん』



なんでこいつは。
奥さんとの約束忘れて千夏ちゃんといるんだよ。



『神谷?』



丈の声はいたって普通だった。
それが腹立たしかった。



「なにしてんの?」


『だから普通にお茶って』


「なにそれ、デート?」



俺の口からはもう乾いた言葉しか出てこなくなってた。



『は?』


「ドライブ俺が連れてっていい?」


『なにいって…は?』



俺の言葉の意味を途中で気づいたらしい。



『おま、んなの許さねーかんな』



自分のしてることを棚にあげていつもより非常に低い声を出しやがる。



「お前が悪いんだろ」



俺はそのまま通話を切る。