【完】僕達のレンアイ事情

「あたしも出掛けようとしてたから」



紗奈が鍵を魅せてくる。



「てか、千夏ちゃんといるってどーゆーこと?」



俺は紗奈の腕を掴む。



「詳しくはわかんないけど、あれから結構会ってるって」


「は?」



そんなわけはないと思ってた。
あの時ちゃんと丈には奥さんがいるって言ったし。
あそこで終わったと思ってたんだ。



「竜二はどこに行こうとしてたの?」


「俺は…公園に」



嘘はついていなかった。
これから公園に行こうとしてたから。



「公園?」


「うん。公園」


「何しに?」


「やしなに会いに」



嘘はつきたくないから。
正直に言ったんだ。



「やしなちゃん…?」


「そう。やしな」


「なんで?」


「え?」



紗奈の肩は震えていた。



「なんでやしなちゃんにわざわざ会うの?」


「べつに友達として会うぐらいなんてことないだろ」



俺は別にやしなとどうにかなろうとしてるわけじゃない。
やしなが悩んでるなら話だって聞いてやりたいし。
ただそれだけだから。