それから私は、母の手を離さないよう、しっかりと握りしめていた。 母の手が私の手を離れた時、私は一気に暗闇へ落ちる。 昨日まで当たり前に見えた景色、母の顔が今は真っ黒…。 昨日まで当たり前に聞こえた雑音、母の声が今は何も聞こえない…。 自分の声さえ聞こえない寂しさ。 言葉に出来ない、この思いを伝えたい…。 でも伝え方がわからない…。 いきなり誰かが私に触れる。 とても怖い。