おー、やっと青になった。



と、俺が歩き出そうとした瞬間だった。




後ろから妙に上擦った声が聞こえてきたのは。





「お、あ、あ、の!!落としまっしたよっ」





え、俺に言ってんだよな?




同じ学校の女子生徒なのは分かる。



しかし、話しているというのに、頭を真下に向けて、腕だけビシッとこちらに向かって差し出している。




って、あ…!?



見覚えのあるカードケースが、彼女の手には握られていた。



さっきカバン開いた時に落としたか?あぶねー。



学生証とか入ってたんだよな、落としてたらシャレにならねぇわ。




素直に感謝し、お礼を言おうとするも、彼女は既に目の前から消えていた。



は?速っ!!




「え!?ちょ…!」




…お礼を言うどころじゃなかった。




こんな朝早くから登校してるってことは、部活生か?
朝練あるから急いでたんだろう。



それなのに、わざわざ見ず知らずの俺のカードケースを拾ってくれるなんて、いい奴だった。



顔見てないから難しいだろうけど…もし、誰か分かったらお礼しなきゃな。



自分の中で、そう解釈し、整理する。




てか、部活…。どーすっかな。何も決めてねーや…。



まず、クラスのメンバーもどんな奴がいるか、把握できてないしなぁ…。



これからやる事を考えるうち、先程のカードケースの件は俺の頭の片隅へ消えていったーーーー。