カードケースをさり気なく拾い、青信号になった途端、私は流れるように動く!




よし、青になった!




「お、あ、あ、の!!落としまっしたよっ」




………………………………噛んだ。盛大に。





色々と限界だった私は、振り返った相手にカードケースを無理やり握らせ、自転車に勢い良く乗る。




「え!?ちょっ…!」




後ろから戸惑いの声が聞こえたが、もう私の気力は残っていない。




振り向くという高度な技は、今の私には出来ない。



チャリ乗ったまま振り向くのは危ないし。




過程はどうであれ、作戦成功である。
人と関わりたくないのに、こんなことをするなんて。




矛盾している。私も分かってはいる。




いくら、取り繕っても本質は隠せない。



それは、仕方ないことだ。でも、それを自分以外に気づかせなければ問題ない。




朝からいい事をしたにも関わらず、どこか複雑な気持ちで私は学校へ向かったーーーー。