そんな日々にも別れはすぐにやってくる。



例の武藤大誠が今日から学校に来るらしい。
正直、まだ充分に休んでおきなよ!と思ってしまう。



非常に憂鬱だ…。



信号が赤になったので、一旦自転車を止める。
このまま、くるっと方向転換して帰りたい。



まさか、初日から委員会が一緒だからといって、何かあるとは思わないけど。



誰かと接する可能性はなるべく避けたい。
私のことなんて、空気くらいの認識でいいのよ…。



前にいる同じく信号待機の人々に、チラリと視線を向けると。



…あ!あの人何か今落とした…!




前にいた学生が、スマホをカバンから取り出した拍子に、カードケースを落としたのだ。




しかし、彼は勿論、周りの人はまるで気がついていない。



あ、ああああぁぁぁぁ。見てはいけないものを見てしまった時って、こういう時だ!




学生の制服からして、同じ高校だし。
何年かは分からないけども、私が話しかけても不快にさせてしまうのでは!




でも、見てしまったのですよ…和白雪はこの目でしっかりと。




このまま、知らん振りをするのは、良心が…。




私は数秒考え、答えを出した。
ーーーー青信号になった瞬間だ。そこが勝負!