○校正案1'(三人称)
彼は一人、見知らぬ街の路地に居た。華奢な体躯と長い髪は男女の区別を難しくさせているが、恐らくは『彼』で間違いないだろう。
彼が顔を上げると、その視線の先には綺麗な石畳が続いている。緩やかな下り坂のずっと向こうまで、それは途切れずに伸びていた。
道の左右にはレンガ造りのアパートが軒を並べている。空き家が多いのか、閑散とした生活感の無い空気が辺りを支配している。
そこは裏通りだろうか、人通りも少なく、寂しげな雰囲気が漂っていた。
【ここはどこだろう】
彼はそう考えたが、答えを見出だすことは出来なかった。世界が壊れたあの時、きっと自分の頭もイカれてしまったに違いないと思っていた。
何故なら、そこは彼にとって全くの知らない街であるはずなのに、彼の心の中にはどこか懐かしい感じすら去来していたからだ。
【ここには見覚えがある】
しかしその感覚を裏付ける確かな証拠は無い。ともすればただの思い込みかも知れなかった。
→→→→
呼称が無いと不便だから『彼』にしようというのが少しクダケ過ぎの感が有ったので言い替えました。
『道を見渡す』とすると視界が広がってしまうので、奥行きを強調して、裏通りを邪魔しないようにしました。
人称と視点を明確にする為に敢えて主語をしつこく使い、彼の思いを括弧でくくって強調しました。
彼は一人、見知らぬ街の路地に居た。華奢な体躯と長い髪は男女の区別を難しくさせているが、恐らくは『彼』で間違いないだろう。
彼が顔を上げると、その視線の先には綺麗な石畳が続いている。緩やかな下り坂のずっと向こうまで、それは途切れずに伸びていた。
道の左右にはレンガ造りのアパートが軒を並べている。空き家が多いのか、閑散とした生活感の無い空気が辺りを支配している。
そこは裏通りだろうか、人通りも少なく、寂しげな雰囲気が漂っていた。
【ここはどこだろう】
彼はそう考えたが、答えを見出だすことは出来なかった。世界が壊れたあの時、きっと自分の頭もイカれてしまったに違いないと思っていた。
何故なら、そこは彼にとって全くの知らない街であるはずなのに、彼の心の中にはどこか懐かしい感じすら去来していたからだ。
【ここには見覚えがある】
しかしその感覚を裏付ける確かな証拠は無い。ともすればただの思い込みかも知れなかった。
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呼称が無いと不便だから『彼』にしようというのが少しクダケ過ぎの感が有ったので言い替えました。
『道を見渡す』とすると視界が広がってしまうので、奥行きを強調して、裏通りを邪魔しないようにしました。
人称と視点を明確にする為に敢えて主語をしつこく使い、彼の思いを括弧でくくって強調しました。



