○校正案1(彼の一人称)


 いつからだろう、青い空を見上げることすらしなくなったのは……


 教会から聞こえてくる鐘の音

 いつもの道ですれ違う、見知ったいつもの人々

 光が差し込み、世界を照らす


 鐘の音を聞きながら同じ道を辿り、いつもの人々とすれ違う

 あの少女はまた振り返ってくれるだろうか


 闇は突然やって来て、四角く切り取られた世界はなりをひそめて沈黙する


 ずっと同じことの繰り返し


 時間の無い、この狭い空間




 そしてあの日

 大きな衝撃と共に、その世界は壊れた




→→→→
 オリジナルは空間を開けてまた文章が続きますが、ここは『彼』の独白だけに留めて、プロローグとしてのインパクトを出します。

 オルゴールの裏蓋に描かれている青空については、人形である『彼』は敢えて見上げることもしないというように設定しました。

『鐘の音』と『いつもの人々』を重複させたのは、繰り返しの印象を植え付ける為です。