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ゆっくりと湯船に浸かり、バスルームを出るといい香りが鼻をくすぐる。肉の焼ける匂い……!!
一瞬にして夕飯モードになるわたしってすごい。お腹が鳴るし、疲れを取るのは風呂ではなく食事の方ね。
「麗ちゃん。ちょうど出来た」
夏彦さんがテーブルに皿を置きながら、笑いかけてきた。
あ。あんなふうに笑えるんだ。いつもそうだったらいいのにな。って、そうじゃない。
「あ、あの。部屋まで借りて、食事まで……本当に悪いですよ」
「一人で食事は寂しいから、一緒に食べて欲しい」
本当に寂しそうな顔をするから、それ以上のことを言えなくなってしまった。
「手伝います」
夏彦さんを手伝い、テーブルに皿を運び、お茶を注いで、お茶碗にご飯をよそう。
そして気づいた。
「何でわたしの食器が揃ってるんですか!?」
「それは――」
「妹さん?」
「いや、買った」



