どうか今だけは。



どうか今だけは笑いあっていられることを許してください。



「そーや、桃子、夏祭り…行けるか?」


「あー…」


忘れてた、と言ったら失礼だろうか。


「行けん?」


「んー、」


「煮え切らんな」


そう言って何故か悲しげに笑う寧にきゅっと胸が締め付けられた。



「せやなぁ、テトラポットの上からなら一緒に見たってもええで」


「なんでテトラポットなん?」


「なんでもや、なんでも」


「桃子人混み苦手なん?」


「ほーでもないで、むしろ突っ込んでいくタイプやな」


「やろ?やったらええやん、会場いこさ」


「んーー、それは譲れんなぁ」


ごめん、わがまま言って。


最後の最後に君と、海と、花火。


それをいっぺんに覚えておきたいんだ。