私の通う学校は家からそんなに近くはないのだ。 ま、遠くもないんだけど。
「ほらほら、急がないとただでさえ起きるのが遅いんだから
また走って学校行く羽目になるわよー」
洗い物をしながら、顔だけ振り返って呆れた顔をするお母さん。
「もう、分かってるよー」
「本当かしら」
「御馳走様でした」
「お粗末様」
ぱちんと両手を合わせて席を立つ。
ふと、棚の上に飾ってある家族写真に目が入った。
結構前に撮った写真で
幼い私を真ん中に両脇に笑顔のお父さんとお母さんが映っている。
「そう言えば、お父さん次帰って来るのいつだっけー?」
「この前電話で話した時には、半年後って言ってたわよー」
「ふーん」
お父さんは外資系企業に勤めているから海外に出張なんてしょっちゅうで。
小さい時は寂しいな、なんて思っていたけどお母さんがいつも一緒に居てくれたから
そこまで寂しい思いはせずに済んでいる。
お父さん、次はどんなお土産買って来てくれるかなー?
なんてのんびり考えつつ洗面台に向かい、食後の歯磨きを済ませた。


