「砂藤です。 砂藤 周(さとう あまね)と言います」


「さ、さとうさん...」


よくある名前だなぁ。

下の名前は結構変わってるけど。


その時、私の脳裏に浮かんだのは全国苗字ランキング上位の“佐藤さん”の名前だった。



「はい。 僕の事は、砂藤でも周でもお好きな様にお呼びください。

僕は琴梨さんとお呼びしますね、ややこしいので依頼者であるお母様の方を笹倉さんと呼ばせて頂きます」


...流石に周って呼ぶ事は無いと思うけど。



「分かりました、今日から宜しくお願いします」


呼ぶ事にも、呼ばれる事にも同意して私はぺこりと頭を下げてお辞儀をした。



「こちらこそ、精一杯頑張らせて頂きます」


さとうさんも私に向かい合う様にして頭を下げてくれて。


一通りの挨拶がこれで終わった。


かの様にみえたのは間違いだったのだと私はこの後知る事になるのだ。