リビングに入るとソファーに鞄を放り投げた私はすぐに食卓の上に置かれている紙二枚を取り上げた。


勿論、それはお母さんが家を出る前に私に向けて書いた手紙だと分かっての事だ。



「えーと、何々?」


私は手紙の内容に素早く目を走らせた。



『琴梨へ これを読んでいる頃には
お母さんはもう向こうに着いていると思います。

琴梨はもう高校生なんだしって思っていたけれど、やっぱりこの家に琴梨を一人置いて行くのはお母さんも心配だし

琴梨も朝ちゃんと起きられるかとか御飯がとか色々心配してたので何か良い方法がないか考えました』



『よく考えたら、琴梨は掃除も苦手だし洗濯機も自分で回した事無いでしょう?

最初は洗濯機に回し方の順番書いてメモに貼っとこうとか風呂場の掃除の仕方とか全部メモに書いて残して行こうって思ったんだけど

結構膨大な数になるし、初めての家事で上手く行かなくて
お母さんやお父さんが家に帰って来た時部屋がぐちゃぐちゃになってましたじゃ困るので決めました』



『住み込みのホームヘルパーさんを雇おうって』