昼の公演が終わり、私はすぐにホールを飛び出した。


すぐに…とはいっても、人混みの中を2階バルコニー席から降りていくのは結構時間がかかる。



レストランは、コンサート帰りのお客さん…いや、夜公演前のお客さんかも知れないな。


とにかく、混んでいた。


ここはいつも、そんな状態だ。



中に入ると


「只今、満席です。」


などと、声をかけられた。


「連れが先、来とるんやけど?」


窓に面したカウンターに座っている、アンジェリーナが私に軽く手を振った。


私の審美眼に適う美人とお茶できるなんて、何年ぶりだろ?


「お待っとうさん。」


私が、着席すると…


「お待たせいたしました。」


トマトソースのスパゲッティーとアイスティ、そしてブレンドコーヒーが運ばれてきた。


「注文、済ませてたんか。」


「桜雛、コーヒーしか飲まないじゃん。」


「まぁね。

でも助かるわ、夜も見ることにしたから。」



スパゲッティーを取り分け、食べながら聞いた。


「で、大阪くんだりまで来て、話って何?」


「桜雛は、蒼とリコの恋バナ書いてるでしょ?」


「そうだけど、まだ序盤。」


「まだ序盤のうちに言っておきたいんだけど、私…好きな人ができた。」


…さよか。