ある土曜日の朝、バスを待っている私の携帯が鳴った。


『桜雛、今から会って話がしたい。』


声の主は、アンジェリーナだった。



「今からぁ?

昼のコンサート行く途中だで、イカンなぁー。」


『コンサートの後で良いよ。』


「行き先、市内と違うんだけど。」


『ドコよ?』


「大阪。」


『もしかして、オーケストラ?』


「ビンゴ!」


『昼夜同じプログラム演るやつだよね…、夜も聴く予定あるの?』


「場合によっては、当日券買って聴くけど?」


『見る…の、間違いじゃないの?』


「そうとも言う。」


『じゃあ、私が大阪まで行く。』


「は?

アタシとちょっと喋るためだけに、新幹線乗る気なん?」


『昼公演終わる前には着くと思うから、夜公演までの間は空けといて。』


「えーっ!

奏者さんの出待ち、できんやんけー!!」


『大事な話…なんだ。』


「しょうがねぇなあー。

じゃあ、ホール前のイタリアンレストランで待っとって。」



丁度、バスが到着した。


私はそれに乗り、ターミナル駅へと向かった。