「えー!最後まで教えてよー!気になっちゃうよー!」
「この話の続きはまた今度ね。ほら、カナちゃん。もう帰る時間だよ。」
「ちぇっ。ほんとだよ。また今度聞かせてね。」
「うん。約束ね。」
指切りをして、カナちゃんという子と別れる。
やっぱり生きている人の手は温かい。
指切りをした手を見つめる。
あなたの手もこんなにも温かいものだったのだろうか。
もうずいぶんも前のことであるためか、あなたの温もりを思い出せなくなってきている自分が悔しい。
アルバ、あなたはいったい何処にいるの?
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「カナ。さっき一緒にいた女の人は誰かしら?」
「さっきのお姉ちゃんのこと?」
「そう。」
カナと呼ばれる少女の手を引く女性。
母親だと思われる女性はカナに尋ねた。
「いつも素敵なお話を聞かせてくれるフローラお姉ちゃんだよ。」
「フローラさん?そう、フローラさんっていうのね。いつも娘がお世話になっていますと伝えなくちゃね。」
「うん。フローラお姉ちゃん、とってもきれいな金色の髪をしていてね、いつも話してくれるお話のお姫様みたいなんだよ。」
「え、フローラさんって。茶髪だったきがするんだけど…。」
「ううん、金色だったよ。夕焼けで金色に見えたんだもん。また、早くお話が聞きたいな…。」
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