ガッシャンッッッ
「なんですって!私より、あんな生娘の方が美しいですって?!」
絨毯にワインの入ったグラスが、液体とともに飛び散った。
「ローズ様、落ち着いてください。」
従者と思われる女性が、怒りに表情が釣りあがったローズ王妃を鎮めていた。
「なぜ、私があんな生娘の二の次なのよ!!!」
ローズ王妃の声がさらに荒げる。
椅子から立ち上がり、姿見鏡の前に立つ。
「私より美しいと言われるあの子が許せない。この世で一番美しいのは私よ!!!」
そう言って、大きく手を振りかざして姿見鏡を叩いた。
ローズ王妃の目は、憎しみや嫉妬で血走っていた。
「ラオン、あなたはもう下がりなさい。」
「しかし…。」
「いいから下がるのです。」
「…。」
このまま下がってしまえば、この王妃が何をしてしまうのか…。
それが不安であった。
もしかして、姫様を…!
「私が私を保っている間に、下がりなさい!」
王妃の貫禄に負け、逃げるように王妃の部屋を離れた。

