「あら、フローラ。何を考えているのかしら。顔がにやけているよ。」


バルーナおばさんの声で我に返る。
慌てて頬に手を当てる。


「わたし、変な顔してた?」


「変じゃないよ。優しい微笑みだったよ。」


そういって、バルーナおばさんが私の髪を撫でてくれた。


「金色の髪を茶色にしちゃって、もったいなかったんじゃないの?それに目も、空色の方がきれいだったよ。」


わたしはフローラ。
金色の髪を持ち、空色の瞳を持っている。
しかし、この国で金色の髪や空色の瞳は目立ってしようがない。
だから、この国に来て一番最初に、髪や瞳を隠すことに決めた。


「いいんです。別にこの髪の色とか瞳とか、そんなに大事なものじゃないので…。」


-キミ、金色の髪なんだ!とってもきれいだな。そして、空色の瞳も。キミはどうしてそんなに美しいんだい?-


遠い昔、私の愛する人が放した言葉。


「そうね。でも、たとえ髪や瞳の色が違くても、あなたはあなた何でしょうね。ささ、食べましょ食べましょ!!」


「はい、いただきます。」


わたしはここにいます。


早く私を探して、会いに来て。



アルバ………。