バルーナの突然の行動に驚く。
「バ、バルーナ!どうしたんだ!」
フローラの顔はバルーナの腕に包まれた。
ほんの少しであるが、レモンの香りがした。
私が飲む紅茶のためにレモンを絞ってくれたからであろうか。
そんなことを考えていると、バルーナの声が聞こえてきた。
「姫様、私は確かに笑うことをお伝えしました。しかし、今の姫様は本当に笑えているとお思いですか?ご自分でもよくお分かりなのではないですか?」
バルーナの言葉は、私の的を確実に得ていたもので、どう答えればいいのか分からなかった。
「愛する者がいなくなるということは、愛した分だけ悲しみや苦しみが大きいということ。しかし、人は愛せずにはいられないのです。人を愛するのに、理由なんてないのですから。今はお泣きなさい。そして、心から笑えるようになった頃に、姫様の微笑みをくださいな。」
バルーナの言葉に、バルーナの温かさに、涙が止まらなくなった。
「あれ、可笑しいな。涙が、次々に流れて…。」
バルーナは私の髪を撫でた。
あの日の王妃のように、私の髪を優しく。
私はバルーナの腕の中で泣いた。
泣き疲れ、眠るまで泣いた。
「姫様は誰でも無条件に愛することができる心優しい人。だから、人一倍愛する者がいなくなった時の悲しみや苦しみが大きいのです。しかし私は、姫様は悲しみの壁をいつか乗り越えると信じていますよ。心から。」
神さま、どうかこの心優しき姫に幸福をください…。

